ラオス北部のトレッキングの拠点ルアンナムター(Luang Namtha)から、さらに中国国境にほど近い少数民族の郷ムアンシン(Muang Sing)へ。距離にしてわずか58kmほどの移動ですが、ラオスの地方を公共交通機関で旅するインディペンデント・トラベラーにとっては、これ自体がちょっとした冒険になります。
私たちは2022年12月末の年末、ルアンナムターに2泊した後にこのルートを移動しました。 前日にバスターミナルで確認したはずの時刻表が当日朝にいきなり覆り、暇を持て余して急遽ヒッチハイクを試みるも失敗、最終的には定員を遥かに超えた超満員のミニバンに揺られることに……!
ネット上の綺麗なタイムテーブル通りには決して進まない、ラオスのローカルバス移動の「リアルな現実」と、事前に知っておくべきサバイバル術を詳しくシェアします。
移動クイックサマリー&リアルコスト
- 出発場所: ルアンナムター県内バスターミナル(Domestic Bus Station)
- 移動手段: ローカルミニバン(12人~14人乗り)
- 距離・所要時間: 約58km / 公称3時間 ➡ 実際はちょうど100分(約2時間)で到着
- 料金(1人あたり・2022年12月当時): 80,000 Kip
この記事は私たちが2022年12月に実際に移動した体験をベースにしています。コロナ禍からの国境再開放の直後だったため、運行本数や状況が流動的でした。近年のインフレに伴い、当時のバス料金(80,000 Kip)などは現在変動している可能性が高いため、移動ルートや現地の空気感の参考にしつつ、最新の運賃は必ず現地の窓口で確認してください。
ルアンナムターからムアンシンへのアクセス方法と「バスターミナル」

ムアンシンはルアンナムターの北西にある街で、距離は58kmほど離れています。中国との国境に道路が通じている街です。かなり田舎で人口の小さな街ですから、アクセスする交通機関は多くありません。
ルアンナムターからムアンシンへ自力で移動する場合、町の中心部からアクセスしやすい「ルアンナムター県内バスターミナル(Luang Namtha Domestic Bus Station)」から定期運行しているローカルミニバンを利用するのが一般的です。
ただし、ラオスの公共交通機関全般に言えることですが、「時刻表はあくまでただの目安(努力目標)」であり、絶対的な保証ではないということを肝に銘じておく必要があります。
あてにならないミニバンの時刻表と現実

移動の前日、私たちは下調べのためにバスターミナルの窓口を訪れました。時刻表には「08:00、09:30、11:00」と誇らしげに書かれており、窓口の女性も「明日の朝一番は8時発だよ」と教えてくれました。
そこで私たちは、確実に席を確保するために翌朝の早朝07:15にバスターミナルへ意気揚々と到着したのです。
しかし、待っていたのは真っ暗な窓口と、誰もいない静まり返ったターミナル。 しばらくすると前日対応してくれた女性が現れ、悪びれる様子もなくこう言いました。 「あ、8時のバスは今日は出ないわよ。次は多分9:30だけど、乗客が集まり次第(満席になり次第)の発車だから、正確な時間は分からないわ。」
これがラオスの現実です。地方のミニバンは基本的に「乗客が規定の人数集まったら出発する」というシステム(定員発車)のため、乗客が少ない日は平気で間引き運転されます。逆に、予定時間前であっても満席になれば先に出発してしまうこともあるので、いずれにせよ「早く駅に行く」ことだけが唯一の防衛策です。
時間潰しの「ヒッチハイク挑戦」と、ほろ苦い失敗

次の出発(らしき時間)まで2時間近く待つことになり、しかも本当に動くか分からない……となれば、バックパッカー魂が黙っていません。「だったらヒッチハイクを試してみよう!」ということになりました。
時間は朝07:30。ちょうど学校へ子供を送り届けるラッシュアワーです。私たちはターミナルから2kmほどてくてく歩き、ルアンナムターの街の北端にある、ムアンシン方面へと続く運命の三叉路(ジャンクション)へ向かいました。
ここで街を出る車を拾おうと親指を立ててみたのですが、結果は惨敗。 時間帯のせいか、街に入ってくる車(通勤通学)は非常に多いものの、これから山の上の未開の地ムアンシンへと向かう車は驚くほど皆無だったのです。朝の冷気に包まれながら「これは時間がかかりそうだ」と賢く判断した私たちは、おとなしくバスターミナルへと引き返しました。
【ラオスでヒッチハイク体験!】ラオスではヒッチハイクが実際に成功しています。その経験は別記事に書いているので、興味があればのぞいてみてください。ただし、ヒッチハイクには潜在的なリスクが伴います。自己責任でおねがいします:
➡ ムアンシンからルアンナムター経由でウドムサイへ!バスとヒッチハイクで行くラオス移動記
➡ ウドムサイ(ムアンサイ)観光完全ガイド!見どころ・ローカル市場・赤十字サウナ&ムアンラー村ヒッチハイク旅
いざ乗車!定員オーバーのミニバンの車内環境

朝08:30にバスターミナルへ戻ると、すでにムアンシン行きのミニバン(トヨタのハイエースなど)が停まっており、ローカルの乗客たちがいくつかの座席を確保していました。
窓口の女性に聞くと、「今おたくら2人を入れて10人集まってる。あと2人、合計12人になったら出発よ!」とのこと。 私たちは急いで1人80,000 Kipのチケットを購入しました。
まだ朝食を食べていなかったので、ターミナルの横にある食堂で麺(カオピヤックなど)でもすすろうかと考えましたが、「あと2人来たら即発車」というスリリングな状況です。置いていかれるリスクは冒せないため、朝食はおあずけにして車内で大人しく待つことに。ほどなくして最後の乗客が滑り込み、運転手から出発の合図がかかりました。

カオスな車内レイアウト
理論上、私たちがチケットを買った時点であと数席しか残っていないはずでしたが、そこはラオス。実際の座席数よりも遥かに多くのチケットが販売されていました。 通常なら荷物スペースを含めて7〜8人が快適に乗れるはずの車両に、最終的に詰め込まれたのは大人14人! 大きな荷物はすべて車の屋根(ルーフキャリア)の上にロープでガチガチに固定され、私たちの個人用バックパックはなんとか車内のわずかな隙間に押し込むことができました。足元も肩まわりも完全に見知らぬ乗客と密着する、文字通りのすし詰め状態です。
いよいよ出発!険しい山道、サトウキビの巨大トラック、そして到着
午前09:00、ミニバンはルアンナムターを予定通り(?)出発しました。 ここからムアンシンまでの58kmは、ひたすらくねくねとしたカーブが続く過酷な山道です。
12月の山の朝は深い霧に煙っており、視界が悪い中、ドライバーは道路に無数に空いた大きなポットホール(穴)を避けながら、ものすごい緊迫感でハンドルを握り続けます。さらに恐ろしいのは、対向車線から山道を轟音を立てて下ってくる、中国資本の巨大なサトウキビ満載のトラック(ローリー)たち。彼らとすれ違うたびに車内には緊張が走ります。
【動画】ルアンナムターからムアンシンへの車窓風景
車内は超満員で身動きが取れず、路面もガタガタと揺れましたが、霧が晴れるにつれて窓の外には荒々しくも美しい北ラオスの険しい山岳風景が広がりました。YouTube動画でには、乗客や荷物だけでなく、書類や手紙を配送する地元人々の姿、ムアンシンバスターミナルでの中国行きバスの看板などもご覧いただけます:
驚きのスピードでムアンシン到着!

チケットを買う際、窓口では「山道だから3時間はかかるよ」と言われていました。しかし、ミニバンが激しい揺れと共にムアンシンの街中にあるバスターミナル(Muang Sing Bus Terminal)に滑り込んだのは、午前11:00ちょうど。 なんと、事前の案内を覆してわずか100分(1時間40分)という驚異的なハイペースで到着したのです!
お腹はペコペコ、お尻はバキバキになりましたが、無事に最北の秘境へと辿り着くことができました。さあ、ここからムアンシンでの素晴らしい滞在が始まります!
無事にムアンシンに到着!その後の滞在記はこちら なんとかお腹ペコペコの状態でムアンシンに辿り着いた私たちは、爆速Wi-Fiの宿を確保し、翌日はボロ自転車を借りて少数民族の村や名物「ラオラオ」の朝市へと繰り出します。夫クリスの26年前の衝撃の思い出も飛び出す滞在編は、こちらの [ムアンシン観光完全ガイド!自転車で巡る少数民族の村、朝市、伝統鍋シンダーとおすすめ宿を徹底解説] を続けてご覧ください。
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