「イギリスの家」と聞くと、ハリーポッターのようなレンガ造りの美しい街並みや、アンティークなインテリアに憧れる方も多いのではないでしょうか?しかし、実際に住んでみたり、イギリス人の家族と暮らしてみたりすると、日本の住宅との「違い」に誰もが圧倒されるはずです。
築100年以上の物件が当たり前に愛される理由から、お風呂や水道の謎の仕組み、日本とは全く違う間取りや洗濯事情まで…。今回は、イギリス人夫と国際結婚して分かった、日本人が思わず「びっくり」してしまうイギリスのリアルな住宅事情を徹底解説します!
1. はじめに:年に1回、イギリスの夫の実家に滞在して見つけた「家」のカルチャーショック
私たちは普段カナダに住んでいますが、イギリスには夫のお母さんが暮らしているため、年に1回、数週間ほどイギリスの実家に滞在するのが毎年の恒例行事になっています。
イギリスの家といえば、ハリーポッターの世界のようなレンガ造りの街並みや、アンティークなインテリアを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?確かに外見はロマンチックでとても素敵なのですが…、実際に数週間「生活」してみると、日本の住宅(そして私たちが暮らすカナダの住宅)とのあまりのギャップに、私は毎回カルチャーショックの連続です!
今回は、年に一度のイギリス滞在で私が実際に体験した、リアルでちょっと面白いイギリスの住宅事情をご紹介します。
2. イギリスの家といえばこれ!憧れの「コンサバトリー」と美しい庭のリアル

ガラス張りの魔法の空間「コンサバトリー」って何?その素敵な使い方
イギリスの家に滞在して、私が一番「素敵だな」と感動したのが「コンサバトリー(Conservatory)」です。
これは、家の裏庭に面して作られた、壁も天井もガラス張りのサンルームのような空間のこと。イギリスは曇りや雨の日が多いため、限られた太陽の光を最大限に取り込むために作られた歴史があります。
お義母さんの家にも素敵なコンサバトリーがあり、たっぷりの光を浴びながら観葉植物を育てたり、庭を眺めながらアフタヌーンティーを楽しんだりしています。まるで外の庭と家の中が地続きになっているような、本当に贅沢で魔法のような空間です。
【洗濯事情のリアル】くるくる回る物干し竿「ロータリーアイロン」での失敗談

ネットの旅行情報などで「イギリス人は景観を気にするから、洗濯物を外に干さない」という話を耳にしたことがある方もいるかもしれません。でも、リアルな実情はちょっと違います。うちのお義母さんは、晴れた日には思いっきり外に干しています!
ただし、日本のようにベランダに干すのではありません。イギリスの家の多くにはベランダがなく、裏庭に干すのが基本です。しかも、使うのは日本のような物干し竿ではなく、庭の芝生に突き刺す傘のような形の「回転式物干し(ロータリーアイロン)」。
風が吹くとくるくる回って効率よく乾く優れものなのですが、これ、干している最中にも風で勝手に向きが変わって、くるくる回るんです。
ある日、私が足元に置いた洗濯かごから服を取って干そうと下を向き、パッと顔を上げた瞬間、風で回ってきたロータリーアイロンの金属製のバーに思いっきり頭をゴツン!とぶつけてしまいました(笑)。イギリスの庭で洗濯物を干すときは、頭上のバーの動きに常に警戒しなくてはいけない…、というのが、私の痛い教訓です。
3. 「窓」をめぐる日英ギャップ!網戸がないイギリスと、雨戸に驚く外国人
虫が入ってこないの?!イギリスの家に「網戸」がない驚きの理由
イギリスの家に滞在して、日本の実家やカナダの我が家が恋しくなるポイントが窓です。なんと、イギリスの家には基本的に「網戸」がありません。
私たちが暮らすカナダの森の中は蚊が非常に多いため、家中の窓に頑丈な網戸があるのはもちろん、庭にはモスキートネット(蚊帳)を張り巡らせた「ガゼボ」という専用の部屋を作って完全防備しているほどです。モントリオールなどの都市部に行けば網戸がない家もありますが、森暮らしの私からすると、イギリスの「網戸なし生活」はかなりソワソワしてしまいます。
実はイギリスのお義母さんはかなりの虫嫌い。そのため、夏に窓を開けていて大きなハエや蜂が家の中に入ってくると、毎回すごくイライラしながら追い払っています(笑)。
そこまで虫が嫌いなら網戸をつければいいのに…、と思ってしまうのですが、イギリスにはそもそも「網戸を取り付ける」という選択肢や文化自体がほとんどありません。イギリスは日本やカナダの森に比べて夏でも湿度が低く、カラッとしていて不快な虫が「比較的」少ないため、みんなハエと戦いながらも網戸なしで過ごしているようです。もちろんエアコン(クーラー)もないので、虫の侵入リスクにハラハラしつつも、窓を豪快に開けて風を通すのがイギリス流の夏サバイバルです。
逆に夫が日本で驚いた!カナダの森の必需品が日本にも?そして「雨戸」という未知の文化
窓の話になると、イギリス人の夫クリスが日本に行って興味深そうにしていたのが、日本の「網戸」と「雨戸(シャッター)」の存在でした。
カナダの森では「虫除けのサバイバルツール」として網戸と付き合っているクリスですが、日本の一般家庭やマンションにまで、スムーズに開閉できる高品質な網戸が標準装備されているのを見て、「日本の網戸は本当に細やかで素晴らしいね」と感心していました。
一方で、クリスが本当に衝撃を受けていたのは、窓の外側についている「雨戸(シャッター)」の方です。
夜になるとガラガラと閉める雨戸に対しては、「まるでこれから台風やハリケーンが直撃するみたいだ」「毎日閉めるなんて、家を要塞(シェルター)にしているみたい」と、その物々しさにカルチャーショックを受けていました。日本でも毎晩必ず閉める家ばかりではありませんが、台風などの災害から窓を守るための知恵だと説明すると納得していました。イギリスには台風がないため、窓を頑丈な板で覆って守るという発想自体が、とても新鮮で不思議に映ったようです。
4. お風呂場(バスルーム)の最新リノベ事情と、お湯の謎
我が家はセーフ!でもイギリス名物「2つの蛇口」と「お湯の元栓」の謎

イギリスの古い家でよく見かけるのが、洗面台のお湯の蛇口と水の蛇口が完全に2つに分かれて独立しているスタイル。「熱湯」と「氷水」が別々に出るので手が洗いにくいことで有名なのですが、幸いなおことにお義母さんの家はリフォームされていて、蛇口が1つのモダンなタイプでした。
「よかった、これなら普通に使える!」と安心したのも束の間、別のトラップが。
なんと、お湯を出すためには、わざわざキッチン(台所)にある「お湯の元栓」を事前に開けに行かないと、お風呂場でお湯が使えないシステムだったのです。入浴前にキッチンへ行ってスイッチを入れ、終わったらまた消しに行く…という動線が必要で、蛇口は1つになっても、やっぱり一筋縄ではいかないのがイギリスの面白いところです。ちなみに床はカーペットではなく、お掃除のしやすいタイル貼りでした。
バスタブを壊すのがトレンド!?イギリスの最新シャワールーム事情
イギリスの古い家といえば、猫脚のバスタブのようなクラシックな大浴槽をイメージするかもしれません。しかし、最近の現地のトレンドはちょっと意外な方向に進んでいます。
実はお義母さんの家にはもともとバスタブがないのですが、今イギリスでは「あえて古いバスタブを壊して、スタイリッシュなシャワールーム(ウォークインシャワー)に作り変える」というリノベーションが、シニア層を中心に大流行中なんです。
現地に滞在していると、テレビのCMやポストの広告で「バスタブを最新シャワーへリノベ!」という案内を本当によく見かけます。湯船に浸かる文化がそもそも薄いイギリスでは、年齢を重ねたときにバスタブをまたぐのが危ないという実用的な理由もあり、どんどんモダンでバリアフリーなシャワールームへシフトしているのがリアルな最新事情です。
5. 家事の間取りと、イギリス人の「家」に対する凄まじい情熱
洗濯機がキッチンにある!?脱衣所がない間取りの衝撃

イギリスの家には、日本のような独立した「洗面脱衣所(兼・洗濯機置き場)」がありません。
では、洗濯機はどこにあるのかというと……なんとキッチン(台所)のシンクの横に、食洗機と並んでビルドインされているのが一般的です!
料理を作る場所のすぐ足元で、泥汚れの衣類がガラガラ回っている光景は、最初はなんだか不思議な気持ちになりました。でも、お義母さんを見ていると「家事の動線がすべてキッチンに集約されているから楽」とのことで、住めば都なのかもしれません。
番組ができるほど!イギリス人の異常なまでの「家への情熱」
日本や、私たちが暮らすカナダでは、「新築物件」に人気が集まりやすいですが、イギリスでは「古い家」を自分たちの手で修繕しながら暮らす文化が根付いています。ただ、最近は古い家のメンテナンスの大変さや価格の高騰もあり、「絶対に古い家が一番!」というわけでもなくなってきていますが、それでもイギリス人の「家づくり」に対する情熱は本当に凄まじいものがあります。
その証拠に、イギリスのテレビを点けると、常に家や不動産に関する大人気番組がいくつも放送されているんです。
例えば、一般人がとんでもないこだわりと予算で理想のデザイナーズハウスを自力で建てる姿を追う名物番組『グランド・デザイン(Grand Designs)』や、プロのナビゲーターが希望の条件に合う家をあちこちめっぽう探しまくる『ロケーション・ロケーション・ロケーション(Location, Location, Location)』などは、何年も続く国民的番組です。他人の家づくりや家探しのドラマを、みんな我がことのように熱狂して楽しんでいる姿を見ると、イギリス人にとって「家」とは人生最大のエンターテインメントなんだなと実感させられます。
まとめ:住む国が変われば「当たり前」も変わる!だから旅と国際結婚は裏切らない
日本、カナダ、イギリス。それぞれの国に独自の「住宅文化」があり、住んでいる人にとってはそれが100%の「当たり前」です。
年に一度、イギリスの実家に滞在するたびに受けるカルチャーショックは、私に「自分の当たり前は、世界の当たり前じゃないんだ」という新鮮な視点を思い出させてくれます。
ロータリーアイロンで頭をぶつけても、お湯を出すためにキッチンまで走らなくてはいけなくても(笑)、お義母さんが淹れてくれた紅茶をコンサバトリーで聞きながら庭を眺めていると、「あぁ、イギリスの暮らしってやっぱり心地いいな」と感じるから不思議です。
みなさんがイギリスを旅するときや、イギリスの映画を見るときは、ぜひ「窓」や「キッチンの洗濯機」に注目してみてくださいね!

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