ウズベキスタンに観光目的で滞在する外国人は、滞在登録をする必要があることになっています。ホテルやゲストハウスに滞在する場合、宿泊施設で行ってもらえますが、滞在登録は本当に必要なのでしょうか。
私たちは今回2023年7月から8月にかけてウズベキスタンを旅行しましたが、そのときの滞在登録に関する体験をシェアしておきます。
ウズベキスタンの滞在登録について
在ウズベキスタン日本大使館のウェブサイトには以下のように記載されています。
ウズベキスタンに72時間以上滞在する外国人は、滞在登録を行うことが必要です。ホテルに宿泊する場合、ホテル側が滞在登録の手続きを代行することとなります。チェックイン時に必ず滞在登録を依頼し、登録の証明としてホテル名や滞在日が記された紙片を渡されますので、出国審査まで大切に保管してください。
引用元:在ウズベキスタン日本大使館
観光査証での入国者は、ホテル以外での滞在登録はできません。
入国後72時間以内の滞在登録を義務付けられていますが 前日の滞在登録がない場合、ホテル等から宿泊を拒否される場合がしばしばあります。入国後は速やかにホテル等にて滞在登録を行って下さい。なお、夜行列車等で移動される方は同列車の切符等を保管してください。
滞在登録を怠った場合や、登録期間を超過してしまった場合、滞在登録先以外で宿泊した場合には、国外退去処分又は高額な罰金を課せられますので注意してください。
政府機関のウェブサイトですから信頼性は高いと思われます。ただ、印象として非常に古いシステムのように感じられ、2023年の現在でも本当に滞在登録は必要なのかという疑問が湧いてきます。
出国審査の際に必要となる旨が示唆されていますが、審査官が本当に逐一チェックするのでしょうか。そして、上記の情報にはまったく暗示されていませんが、実際の旅の途中では、ホテルでの滞在登録は追加料金を請求されることがあり、有料であるべきものなのかという大きな疑問も発生したのです。
ウズベキスタン滞在登録は有料?
マレーシア、クアラルンプールからタシュケントに飛んだその日、ウズベキスタンで最初に宿泊したのは、タシュケントのサウスホテル(South Hotel)でした。8時間のフライトの後の宿泊なので、オンラインでホテルを予約したのです。
ところが、チェックインの際にいわれたのが、オンライン予約サイトで表示された金額の他に滞在登録代として、一人1泊4米ドル追加料金がかかるということ。私たちは2泊するつもりだったので、4米ドル×2人×2泊で合計16米ドルが上乗せされることになります。ウズベキスタンの平均的ホテルは1泊1室30米ドル前後で宿泊できるので、1日2人で8米ドルの滞在登録費用追加となると、基本の宿泊代金に対してかなりの割合です。
滞在登録をしなくてはいけないことは知っていましたが、ホテルに宿泊すれば自動的にホテル側がやってくれるものだと思っていて、まさか有料だとは予想していなかったのです。しかし、ホテル予約サイトのページをよくよく確認してみると、表示されている宿泊料金の下に小さく「税金や手数料などの追加料金が別途発生する可能性あります」と記載されていました。タシュケントだけでなく、ウズベキスタン国内の他地域の宿泊施設でも、そういう但書があるところが圧倒的多数に多いのです。
けっきょく、サウスホテルでは交渉に交渉を重ね、滞在登録費用を少しだけディスカウントしてもらいました。しかし、同様のことがウズベキスタン滞在中続くのかと思うと、少々げんなり…。入国早々、テンションが下がります。
滞在登録とはいかなるものか
一人1泊4米ドルもかかる滞在登録書類とはいかなるものか、と思いきや、実際に受け取ったのは普通の紙切れに宿泊と個人情報が印字されているだけのものでした。宿泊施設によっては手書きで記載され公式のスタンプが押されたものもありました。
いつからいつまで滞在したかが表記されるため、通常はチェックアウト時に滞在登録を受け取ることになります。ところが、停電の多いウズベキスタン、チェックアウト時に停電してしまうと、「滞在登録が印刷できません」と言われることもあるのです。「だったら最初から手書きでできないの?」と言いたいところですが、そう簡単でもないようで、非効率的というか非現実的というか、困ったちゃんなシステムなのです…。
ホテル側の滞在登録費用
オンラインでのホテル予約は便利ですが、軒並み「別途手数料がかかるかもしれません」と表記されていては、旅行の予算もままなりません。中には基本の宿泊料金が1室9米ドルで滞在登録費用が10米ドル上乗せされたケースもありました。
また、外国人滞在登録を行う宿泊施設側はその発行に際して政府に料金を支払うようです。要するに外国人旅行者税金と同様のものだと考えて良いでしょう。宿泊施設側が負担する代金(税金)は宿泊施設のカテゴリーによって異なるようで、ホテル、ホステル、ファミリーゲストハウスの順に安くなるようなのです。そのため、ホテルにおけるウズベキスタン人客と外国人客との宿泊料金の差はもっとも大きくなるのです。
ホテルチェックイン時に前日の滞在登録提示は必要?
先の日本大使館からの情報では、宿泊施設において前日の滞在登録が求められることがあると記載されていました。実際にそのようなことがあるのでしょうか。
私たちが滞在した都市は、
- タシュケント(Tashkent)
- ヌクス(Nukus)
- ヒバ(Khiva)
- ブハラ(Bukhara)
- カルシ(Qarshi)
- テルメズ(Termez)
- サマルカンド(Samarkand)
- コーカンド(Kokand)
- マルギラン(Margilan)
そのうち前日のホテル滞在登録提示を求められたのは、カルシ、テルメズ、コーカンド(2軒宿泊したうちの1軒)の宿泊施設でした。前日の滞在登録が必要かどうか、宿泊施設によって滞在登録の扱いが異なりますが、ゲストハウスやホステルよりもホテルの方が、提出を求められる可能性が高いような印象を受けました。
出国時に滞在登録提示は本当に必要なのか
ここが最も気になる点です。ウズベキスタン出国の際、イミグレーションで滞在登録証の提示を求められることはあるのでしょうか。
デナウ(Denau)からタジキスタンへ国境越えする際、ウズベキスタン側のイミグレーションで滞在登録の提示を求められました。
このとき実は滞在登録の提出を用意していなくて、それまでに宿泊したホテルの滞在登録書類を2人分まとめて審査官に渡しました。まったく整理されていない状態で、他に何かしらのレシートも混ざっていたと思います。とにかく紙の束を審査官に渡すと、それを受け取った審査官は一枚ずつチェックすることはなく、出国スタンプを押して、パスポートと紙の束を(レシートも含めて)すべて返してくれました。なぜ、審査官がきちんとチェックしなかったことがわかるのかというと、手渡した滞在登録は2晩分が欠けていたからです。タシュケントから寝台車でヌクスまで移動した夜の分(寝台車泊)と、デナウで友人宅に宿泊した2日分です。
イズボスカンからの国境越えの際にも、ウズベキスタン出国の際に滞在登録を求められました。このときの審査官はもうちょっときちんと書類を確認していたようですが、どのくらい神妙にチェックしたかどうかは不明です。
いずれにせよ、出国の際に2回とも滞在登録の提出は必要でしたので、滞在登録はやっておくべきでしょう。本当にめんどうなシステムですが、仕方ありません。
ホテルでの滞在登録に関するめんどくさいこと
滞在登録書類は通常チェックアウトの際に手渡されます。チェックアウトして初めて印刷開始するケースが多く(チェックアウトして初めて書類作成開始することも)、支払いを含めたチェックアウト手続きにかかる時間は他の国よりも長くかかります。前日の夜に「明日の朝チェックアウトするからね」と支払いを済ませ滞在登録を翌朝までに用意してもらうこともできますが、残念ながらすべてのホテルが効率的に動いてくれるとは限りません。
さらに、チェックアウト時にちょうど停電してしまったことがあり、滞在登録が印刷できないこともありました。そのときのスタッフはまだ気が利いていて、ワッツアップで送信しますといわれましたが、そうやっているうちに電気が復帰して印刷してもらうことができました。
滞在登録はめんどくさいですが、それ以上にウズベキスタンは観光地として魅力的な国です。チェックアウトや滞在登録に時間がかかることに配慮しながら、ウズベキスタン旅行を楽しみましょう。
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