ブラショヴからハルマン(Hărman)要塞教会へ日帰りで行ってきました。
ブラショヴには2泊したので、そのうちの丸一日を郊外の観光に充てました。この日午前中はドラキュラ城として有名なブラン城を訪問しています。ブラン村の観光とアクセスは別投稿にまとめています。
本投稿では、ハルマン要塞教会の見どころとアクセスに焦点を絞って記載しています。
ハルマン(Hărman)要塞教会について
ハルマン教会の歴史は13世紀まで遡ることができますが、要塞として築かれたのは15世紀に入ってからのことです。教会の建物自体は、1240年にはすでに建築が始まっていたと考えられており、ロマネスク様式の聖堂は、部分的に現在にまで残されています。
オスマン帝国の脅威から、15世紀になって二重の同心円状要塞壁とそれを囲う、深さ3〜4mの掘が追加建設されました。堀は現在残っていません。現在に見られる外側の壁は内壁よりも低く4.5mで、内壁は12mの高さがありました。ただし要塞の北側は湿地帯であったため、壁の高さは低めになっていました。内壁には高さ20m以上の7つの塔が設置され、互いに連結されていました。この内壁と塔の一部は保存状態が良く、見学者は塔に上って城壁を歩いて観光できます。
内壁に隣接するように複数の部屋が作られており、最大で800人の住民が避難できる規模だったといいます。教会には56mの塔がある他、19世紀のオルガン、バロック様式の祭壇が残されており、観光の見どころとなっています。この教会は宗教革命以前のフレスコ画を保存する、トランシルバニアで数少ない教会の一つです。
ハルマン要塞教会へのアクセス
ハルマン要塞教会があるハルマン村はブラショヴ市の郊外10kmの場所にあります。私たちは鉄道でハルマン村へ向かいました。
ブラショヴからハルマンまでの鉄道はRegio Calatoriという鉄道会社が列車を運行しています。ブラショヴ鉄道駅構内に専用の切符売場があるので、そこで切符を購入しました。
ブラショヴを午後1時39分に出てハルマンに1時51分に到着します。料金は一人4.5レイと格安です。座席は自由席になります。
切符を購入したあと、出発まで時間がたっぷりあったので、翌日のシギショアラ行きの切符を購入したり、駅構内の無料WiFiでネットサーフィンしたりして時間を潰しました。
そのあと、プラットフォームへ向かいました。私たちの列車はすでに停まっていて、すぐに乗り込むことができました。
ハルマン行きの列車はちょっとレトロな雰囲気の2両編成です。
座席もシンプルなシート。満席ではなかったので、ゆったり座ることができました。列車は予定時刻通りにブラショヴを出発し、10分ほどでハルマンに到着しました。
かなり開放的な鉄道駅です。駅構舎や改札を通ることなく、線路をまたいでハルマン要塞教会の方へ歩いて行きました。
ハルマン鉄道駅からハルマン要塞教までの距離は約2kmです。歩いて25分程度で到着しました。
ハルマン要塞教会の入場料
ハルマン要塞教会の門をくぐるとチケットオフィスがあります。入場料は一人15レイでした。受付でどこから来たのかと聞かれたので、英国人と日本人ですと伝えると、英語の説明が書かれたファイルを手渡されました。日本語版は多分ありません。
ハルマン教会要塞の地図があり、見どころが詳細に説明されているので、見学の際に便利です。
ハルマン要塞教会の見どころ
チケットオフィスから教会へ入ると、中庭があり、中央に教会聖堂が、周囲に要塞壁に隣接した2階建ての部屋が並びます。教会の壁に見える急勾配の階段を上ることはできませんが、要塞壁建物の階段は、これも急勾配ですが、博物館と要塞壁内部へアクセスできるようになっています。
ハルマン教会聖堂
私たちは建築の専門家ではありませんが、教会を東側から見ると、13世紀ロマネスク様式三重身廊大聖堂の外観が顕著だということです。
東側に設置されているバロック様式の祭壇は1787年に完成しました。教会内には、18世紀後半に作られた木造説教壇、1899年製作のネオゴシック様式の聖杯型洗礼盤などがあります。
教会の中央エリアに備えられている背もたれのないベンチは、他の教会では見たことがなく、珍しいです。これは服装のため背もたれにもたれることができない既婚女性用にデザインされたもので、1753年に設置されました。松の木でできています。
1889年に作られたオルガンです。手前には美しいカーペットがかけられていました。
鐘楼
1300年に追加された鐘楼は56mの高さがあり、教会西側の急な階段から鐘が置かれている階まで上ることができます。見学者は教会の西北にある階段から上り、西南の階段から下って出ることになります。
螺旋階段と木造階段でアクセスしますが、たいへん急勾配ですので注意して上りましょう。私たちが上ったときは、ちょうど鐘が鳴っているときで、大音量の中、一番上まで上がりました。このとき、鐘楼の最上階には2つの鐘が収められていました。これとは別に、教会の門塔にも鐘が置かれていますが、この鐘は1608年製造で、現存するハルマン最古の鐘です。
鐘楼の屋根には中央の尖塔の4隅に小さな塔がありますが、これらは1794年に追加されたものです。鋭い尖塔は「剣」を象徴しており、極刑宣告できる法的権限を表したものです。
要塞壁内の通路と塔
15世紀半ば、オスマン帝国の脅威にさらされたハルマン市は教会複合施設を要塞化しました。既存の壁を強化し、銃眼を持つ通路が形成されました。その要塞壁には見張りのための7つの塔が作られ、すべての塔が通路で連結されていました。
これらの要塞通路と塔は、中庭からの急勾配な階段によってアクセスできるようになっており、現在もこの階段から要塞壁内の通路と塔を散策見学できます。
見学者はチケットオフィス近く、中庭南の階段から上がって要塞壁内通路を歩き、北側の階段から下りて出ることになります。
チャペルタワー
もともとは独立した礼拝堂だったものが、15世紀の要塞化に伴い、拡張されて要塞塔の一つとなりました。そのため窓の脇には銃眼としての開口部が作られています。
教会中庭南に連続する部屋の最も東側にあるこのチャペルタワーには、15世紀の壁画が残されています。
博物館
要塞の内壁に連結する部屋は、現在博物館として歴史的資料が展示されています。当時を忍ばせる家具や道具、衣装、学校、ベッドルームなどがあります。
ブラショヴからの日帰り観光におすすめ!ハルマン要塞教会
ハルマン要塞教会からブラショヴへ帰る公共交通手段は、鉄道とバスがあります。バスは教会の近くにバス停がありますが、本数は少ないです。鉄道の本数も少ないので、両方の帰りの時刻を確認してから教会見学するとよいと思います。
私たちはこの日、午後3時51分発のブラショヴ行きの列車にギリギリ間に合ったので鉄道で帰りました。要塞教会見学の所要時間は1時間強かかったことになります。
ハルマン要塞教会は、全体的によく手入れされており、見ごたえのある歴史的観光スポットだと感じました。アドベンチャー、歴史的資料、宗教的考察など、さまざまな要素を持つアトラクションで、鉄道駅から徒歩でアクセスできるのもうれしい点です。ブラショヴからの鉄道本数が限られるのが難点ですが、ブラショヴから日帰り観光できるスポットとして大いにおすすめしたいスポットです。
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